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琉球の富 星明彦・沖縄総合事務局運輸部長 <仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今日は、思うことを素直に書かせていただこうと思う。最近、沖縄の方々、森、土、水、空気から、暖かい願いや優しい光を感じることが多い。自身に流れ込む愛情は止めどなく、ただ祝福に感謝するしかない。

 驚くのは、それが巡りパワーアップしていくことだ。愛情や願いに応えるべくドアを開け進むと、それに呼応するように、ドアの先に暖かく大事な意を持つ誰かがまた待っていて、もっと前に進むよう背中を押す。どうやら沖縄の正体は「永遠に完成しない世界に向かい、全ての命と共に無限に生かされ続ける仕組み」であるらしい。

 ただ力を抜きいわば「然」としているだけで、意にかかわらず自身の潜在力が引き出されていく。以前からキャリアデザインとか組織・社会が勝手に当てはめる外形的尺度を邪魔に感じていたが、近頃それを邪魔にすら感じなくなり、自分の「そういう」将来を考えなくなった。

 森、土、水が生んだ全ての命を尊び、互いに感謝し愛情と命を繋(つな)ぐこと。喜怒哀楽を伝え慈しみ合い、素直に自身の力を引き出すこと。その命を極限まで良く生かす、たくましく美しい仕組みが、沖縄をウェル・ビーイングの地、健康長寿の世界的エリアとしたのだろう。

 ただ、もし、その真ん中にある肝心(ちむぐくる)、いわば「琉球の軸」を見失ってしまったら、その富は急速に力を失いどこかへ消え飛んでしまうように思う。私も日々軸を確かめつつ誠と美を現し、琉球の豊かさを誰かに繋げることのできる人でありたい。