県教育委員会が新年度から新たなメンタルヘルス対策に取り組む背景には、精神疾患による休職者の増加が、教員不足の一因になっていることがある。
教員の精神疾患による病休者の増加について、文部科学省は約20年前に調査結果をまとめて把握していた。なり手不足、教員不足が深刻化した後での原因調査はあまりにも遅い。国、県は迅速で確実な分析を急ぎ、具体的な改善策を打たなければならない。
文科省の2012年の調査によると、精神疾患による病休者の約半数は、所属校への復帰後2年以内に再び休職していること、病気を理由とした離職者の約6割が精神疾患を挙げていることなどが分かった。
文科省の同じ調査では、教委への相談窓口の設置、復職支援プログラムの実施率の高さが示されていた。しかし、窓口やプログラムを用意しても、教職員にとって利用しづらければ意味がない。窓口がある一方でなぜ休職者が増えているのか、肝心な部分の検証がされていない。矛盾点が置き去りになり、教員不足が深刻化した。
教職員からは、就業時間内に終えられないほどの業務量の多さに苦しむ声が上がっている。教職員に心の余裕がなければ、子どもの声に気付くことができない。
心を病む教職員が出ないよう調査を実効性のあるものにするために、改善策を迅速に提示することが求められる。
(嘉数陽)