あおぐ風に400年の歴史 京都の学生、クバ団扇を復元


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
クバ団扇の復元に取り組む部員ら(京都産業大学付属中学校高等学校提供)

 京都産業大学付属中学校高校(京都府)の歴史部員7人が今年1月、400年以上前の琉球王朝時代に制作されたクバ団扇(だんせん)を、現物を基に復元した。京都産業大学ギャラリーで展示されている。展示は8日まで。

 クバ団扇はクバの葉で作られた団扇(うちわ)。1611年頃に琉球の尚寧王が袋中上人に贈ったとされ、府指定文化財として檀王法林寺(京都市)で保存されている。複製作業を通して沖縄の歴史や文化への理解を深めることを目的に、昨年10月から制作を始めた。

 小浜島から取り寄せたクバを乾燥させ、たこ糸で縫合して制作した。参加した河元悠真さん(13)は「見た目はシンプルで簡単そうだと思ったけれど、実際にやってみると葉の広げ方や編み方などが複雑で難しかった。昔の人の工夫と知恵を感じた」と述べた。

琉球王国の尚寧王からの贈呈品とされている約400年前のクバ団扇(京都産業大学付属中学校高等学校提供)
部員らが復元したクバ団扇(京都産業大学付属中学校高等学校提供)

 京都産業大学ギャラリー学芸員の支援を受け、小浜島の住民への聞き取りやクバ団扇を保有する檀王法林寺での調査も行った。調査に参加した本郷和祥さん(15)は「沖縄と京都の交流の歴史を知るきっかけになった。作業を通じて沖縄の歴史や文化に興味を持った」と語った。

 顧問の中尾健二さん(53)は「展示会や書籍で見るだけでなく、実際に手を動かしてものづくりを体験することで、歴史を身近に感じてほしい」と話した。
 (普天間伊織)