町は譲歩し代替地を提案、県議会は保革超え反対…なのに移設強行 米軍の嘉手納基地内防錆施設


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険しい表情で防衛省と外務省から防錆整備格納庫の説明を聞く、當山宏町長(中央)ら=28日午前11時過ぎ、嘉手納町役場

 【嘉手納】「米軍側がパパループを唯一の建設場所とするのを、われわれは容認できない」―。多くの資料を抱えた防衛省と外務省の職員10人が嘉手納町役場庁議室に入室すると、當山宏町長はゆっくりと顔を上げ、険しい表情になった。町民の住宅地に近い米軍嘉手納基地内の旧駐機場「パパループ」に防錆(ぼうせい)整備格納庫の移設計画が明らかになってから約10カ月。町の反対にもかかわらず、当初の予定通り整備が進められる見通しとなった。町内には計画に反対する黄色いのぼりが立つ。

 約1時間の説明を受け、記者団の取材に臨んだ當山町長らの表情は一様に硬かった。防衛省職員は「パパループが唯一。別の建設場所を見いだすのは困難だ」などとパパループを建設地にする必要性や周辺環境への対策を強調したが、これまで多くの基地被害で不信感を抱く町にとって、説明は説得力に欠けた。

 町はかたくなに計画に反対するのではなく、代替地を米軍に提案するなど、譲歩する形で計画見直しを求めてきた。それにも関わらず結果は「ゼロ回答」。嘉手納町基地対策協議会として住民からの基地被害の声をすくい上げてきた上地安重会長は、説明の最中に語尾を強め感情的になる場面もあった。「住宅地のすぐそばだなんて。計画に賛成する町民はいない」

 県議会でも党派を超えて反対され、計画への反発の大きさが伺えた。仲村渠兼栄町議会議長は「住民生活に直結する問題だ。保革を超えての動きは重みがあった」と振り返る。だが従来通りパパループに整備されることについて「怒りを通り越して残念だ。今後の対応は議会に持ち帰り、調査したい」と肩を落とす。

 計画に反対する町民大会の開催計画は、現時点では上がっていない。當山町長は「周辺地域に影響を与えかねない施設だ。説明も尽くしてほしい」と求めた。

(石井恵理菜)