心の健康得る環境へ 精神保健福祉大会 沖縄の課題解決探る


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「戦後70年・沖縄の自然と心の変遷」をテーマに4人が報告した精神保健福祉普及大会の座談会=11日、宜野湾市民会館

 「戦後70年・沖縄の自然と心の変遷」をテーマにした第46回精神保健福祉普及大会(県、県精神保健福祉協会主催)が11日、宜野湾市民会館で開かれ、精神保健や医療、児童福祉などの専門家が公開座談会で議論した。少年犯罪や戦争体験のトラウマ(心的外傷)、沖縄の自己決定権などの幅広い課題について、戦後の環境変化や人々の変化を振り返り、自然を大切にした地域づくりの必要性を訴えた。

 かいクリニック院長の稲田隆司氏は人が元気になる条件に(1)承認される(2)居場所がある(3)成就する―の3点を挙げ「戦後沖縄は承認されてきたのか、居場所があったか、何かを成し遂げることができたか。半分イエスで半分ノーだろう」と指摘。「自己決定権を獲得していく今は沖縄が健康を獲得していくプロセスなのではないか」と話した。
 元県児童相談所所長で沖縄大非常勤講師の山内優子氏は、子どもたちが商業施設で普通に遊ぶようになったことを問題視した。「子どもに格差が生まれ、心が荒れ、集団暴行などの犯罪にもつながる」として、お金がなくても遊べる児童館の増設を訴えた。
 元県立看護大学教授の當山冨士子氏は2012年の戦争体験者調査で4割がトラウマを患っていたと報告し「公民館に歩いて来られる人を対象にしており、実際にはもっと多いだろう。対応が必要だ」と話した。
 琉球新報の玉城江梨子記者は辺野古の新基地建設反対運動の取材に触れ「高齢者が、貝や魚を捕ってきた海を人殺しに加担する基地のため埋め立てては駄目だと話していた。沖縄の思想は海と結び付いている」と話した。座談会の座長は県立総合精神保健福祉センター所長の仲本晴男氏が務めた。