混戦極めた西地区 リーグの“東高西低”覆し「歴史変わったシーズン」 <キングスBリーグ初制覇・最強の証明>4


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琉球―大阪 試合終了後、円陣を組むキングスの選手たち=4月5日、沖縄アリーナ(小川昌宏撮影)

 「東高西低」。プロバスケットボールBリーグは東と西で実力差があると言われていた。しかし、2022―23年シーズンは、チャンピオンシップ(CS)に西地区から4チームが出場し、琉球ゴールデンキングスがBリーグ発足後初めて東地区以外の優勝チームとなった。CSファイナル(決勝)の会場でも、ブースターやメディア関係者から「歴史が変わったシーズンになった」という声も聞かれた。キングスは西地区を勝ち抜き頂点をとったが、順風満帆なシーズンではなかった。

 NBL出身チームが多く、日本代表選手が東地区に多いことから「東高西低」の状況が続いていた。事実、キングスが優勝するまでの5シーズンの優勝はすべて東地区のチームだった。しかしここ数年、大企業がチームの経営権を取得したり、子会社化したりすることで、資金力を生かした補強が進み、西地区のレベルが上がっていた。

 今季は日本代表経験のある安藤誓哉や得点王となったペリン・ビュフォードがフィットしてきた島根スサノオマジック、キングスからドウェイン・エバンスを獲得した広島ドラゴンフライズ、齋藤拓実や張本天傑ら日本人中心に実力者がそろう名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、そしてキングスが西地区で熾烈(しれつ)な優勝争いを繰り広げた。

 キングスの今季開幕戦は21―22年シーズンのCSファイナル(決勝)で敗れた宇都宮ブレックスだった。王者・宇都宮に対して2連勝し、上々のスタートを切ったかに見えた。しかし、今季第3戦の名古屋D戦では20点差以上つけられ、初の敗戦。それ以降も島根、広島の同地区対決や他地区の強豪チームに敗れ、シーズンを折り返した1月には一時4位に沈んだ。

 bj時代からのライバルである大阪エヴェッサには昨年12月と4月に敗れた。特に、4月5日の試合は88―89と1点差。試合後、桶谷大HCが「点を取られすぎている」というように、堅守のチームであるキングスにとっては、大量失点だった。その後の試合は、各クオーター18失点、1試合80失点以内を目標に挑んだ。

 4月は大阪との試合を終えた時点で2位につけ、首位の島根とは4ゲーム差。島根との直接対決となった12日の試合で今季1試合平均22・5得点するビュフォードを13得点に抑えるなど、得点のキーマンを激しい守備で押さえ込んだ。そのまま連勝を続け、首位を奪還し、4月29、30日の大阪とのホーム最終2連戦。この試合も堅守で抑え、2連勝でマジック1とすると、最終節の広島戦に勝利。地区優勝を勝ち取った。

 キングスは地区2位の島根とは48勝で並んだが、直接対決の得失点差で上回った。3位の名古屋Dは43勝、4位の広島は41勝しており、他地区では優勝チームや2位チームを超える勝利数を納めるなど、西地区のレベルの高さを改めて示した。

 CS決勝の優勝時にコートに立っていた牧隼利は「正直、西地区優勝がかすかにしか見えない時期もあったし、どの地区も上位下位関係なく、勝つのが難しい1年だった」と振り返る。激戦だった西地区で、キングスは守りを見直し、桶谷HCの掲げた「ポジションレス」のバスケットで勝ち抜いた。そのチームを支えたのはCS決勝でも活躍した「セカンドユニット」の存在があった。

(屋嘉部長将)
(敬称略、随時掲載)