自分を子に親に重ねる こんにちは、母さん シネマQ、シネマライカムで公開中


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 「夏ぬ節来りば涼風ゆ送てぃ 冬ぬ節来りば懐るに抱ちょてぃ」
 「童神」の歌詞の一節だが、私は母にはそうやって育ててもらった。
 両親が年をとってからの子だった私は、親戚に里子に出されるはずだった。出産に立ち会った叔母の「年とてぃからぬわらべー、あんしやなかーぎーやる」の一言で里子
の話は立ち消えたという。
 家庭も仕事もうまくいかず、一人娘も反抗期で四面楚歌(そか)の昭夫が久しぶりに母を訪ねてみれば、1人暮らしを寂しがる風もなく、おしゃれで艶やかで生き生きしている。
 場内は熟年のご夫婦が多く、いたるところからほがらかな笑い声が聞こえる。誰もが幸せになるために生まれてきた。そして幸せにしたいと願った親がいた。
 吉永小百合と大泉洋の親子に泣き笑いしながら、自分自身を子に重ねたり親に重ねたり。うまくいかないことも多かったけれど人生すべてよし。母さんに育ててもらってよかったよ。山田洋二監督91歳。90本目の記念すべき作品。(スターシアターズ・榮慶子)