瀬底さん、辺野古記事で全国最優秀 新聞感想コンクール


この記事を書いた人 田盛 良一

 家族や友人と一緒に記事を読んで話し合った感想や意見を募る第6回「いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)の受賞作が26日までに決まり、全国3万9881編の応募の中から、小学生部門の最優秀賞に北中城小6年の瀬底蘭さん(12)が選ばれた。同コンクールでの最優秀賞は県内で初めて。瀬底さんは、県警が名護市辺野古の埋め立てに抗議する市民を排除する様子を伝えた記事に、警察官の葛藤をくんだ文章を見つけ、県民同士が対立しない「本当の終戦」が訪れることを願った。

 瀬底さんは「移設反対の人も警察官も、本当はこんなことしたくないと思っているはず。県外の人にも沖縄のことを考えてほしい」と、受賞をきっかけに複雑な県民感情への理解が深まることを期待した。
 新聞を読んで身近な人と意見交換し、感想を送る同コンクールに応募したのは、ことし1月16日付沖縄タイムス社会面の記事だ。「国策 民意を侵害」の見出しで、辺野古での移設作業再開に抗議する市民を警察官が強制排除する様子が描写されている。この日の朝、記事を読んだ母親が泣いているのに気付き、瀬底さんも新聞を手に取った。
 警察官が悪者扱いされていることに悔し涙を流していると思ったが違った。母は、記事の最後に書かれた「(市民の訴えを聞いた)警察官は目頭をこすって空を見上げた」という文章で複雑な県民感情を表現した記者に、感謝が込み上げたのだと説明した。
 瀬底さんは「警察官の言葉はないが、行動で葛藤する心が分かると思う。記事は事実を伝えるだけでなく、人の気持ちを救う力がある」と気付いた。
 米軍基地が近い北中城村の土地柄、学校には米軍関係者や基地内で働く人の子も大勢いるため、米軍基地の問題が「賛成」「反対」だけでは言い表せないことも肌で感じている。
 応募作の最後は「県民同士が向かい合わなくてすむ様な、本当の終戦が沖縄に訪れるよう心から願い、考えていかなければと思えた有難い大切な記事でした」と締めくくった。受賞を受け「敵か味方かじゃなくて、お互いの気持ちが分かっているからこそ対立はつらい。向かい合って争っているうちは『終戦』したとは言えない」と、対立解消を願う気持ちを強くした。
 県内から奨励賞に3人、全国で15校が表彰される優秀学校賞に大里南小が選ばれた。全国から小学生6522編、中学生1万9028編、高校・高等専門学校生1万4331編の応募があった。表彰式は12月12日に東京都内で行われる。