被害者支援の策定提唱 公共交通事故被害支援フォーラム


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「命の重み」を伝え続けてと題して講演する8・12連絡会の美谷島邦子事務局長=11日、那覇市おもろまちの那覇第2地方合同庁舎

 沖縄総合事務局は11日、那覇市の那覇第2地方合同庁舎で「公共交通事故被害者等支援フォーラム」を開いた。国土交通省が事業者に策定を提唱している、被害者からの相談受付体制などを定めた被害者等支援計画について出席した事故被害者の遺族は、事業者の信頼醸成の意味でも計画策定の重要性を訴えた。総合事務局によると、県内の計画策定は航空会社2社と海上運送事業者1社の計3社にとどまっている。

 フォーラムでは、520人が亡くなった1985年の日航ジャンボ機墜落事故の遺族でつくる8・12連絡会の美谷島邦子事務局長や、民間の被害者支援団体沖縄被害者支援ゆいセンターの安里優相談員が講演した。公共交通機関の関係者ら約40人が参加した。
 ジャンボ機墜落事故で息子=当時(9)=を亡くした美谷島事務局長は「時間がたっても癒やされない悲しみがある」と、何年たっても変わらない事故被害者遺族の思いを語った。その中で「事業者の被害者支援計画策定と訓練実施が、事業者の信頼を高め、安全安心な社会づくりと被害者の人権を守ることにつながる」と述べ、計画策定の意義を強調した。
 国交省は、大事故の遺族・被害者団体らの要望を受けて2008年に運輸安全委員会、12年に公共交通事故被害者支援室を設置した。運輸安全委には「被害者への情報提供」が義務付けられ、支援室は事故情報提供窓口や被害者の中長期にわたる支援を担っている。
 事故被害者支援の一環で国交省は事業者に対し、事故情報の伝達や事故現場の対応、被害者からの相談受付体制などを定めた被害者等支援計画策定を提唱している。