「既成事実化急ぐ」 先島の自衛隊 半田氏が講演


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 シンポジウム「『国境の島』沖縄が問う―自衛隊配備を考える」(沖縄国際大沖縄法政研究所主催、琉球新報社共催)が30日午後、宜野湾市の沖国大で開かれた。防衛庁(省)担当を務めるなど長年、安全保障分野で取材経験のある東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏が講演した。200人が参加した。

 半田氏は、北方重視から南方重視へと陸上自衛隊の役割に変化が迫られた中で、先島配備の検討が2005年ごろには始まるなど、早くから準備が進められていたと紹介。与那国島では自衛隊による防災協力や行事の支援などを通して「親しみのある自衛隊、頼りになる自衛隊」を演出し、「配備計画を着々とドミノ倒しのようにうまく進めている」と指摘した。
 一方で住民に十分な情報開示がない中、配備に向けた作業が急いで進められており「配備後もしこりが残る」とも述べ、配備に向けた手続きに疑問を示した。
 普天間飛行場の移設問題で、かつての沖縄県政が名護市辺野古移設を容認していたことを教訓とし「気が変わる前に進めようと、既成事実化を急ぐようになったのではないか」と指摘。さらに「混迷を深める辺野古の問題から何も学んでいないことが先島配備の問題の背景にある」と語った。