子の貧困対策強化、県が新組織 県議、地方議員も調査開始


この記事を書いた人 志良堂 仁
市町村に送るアンケート用紙に目を通す沖縄自治体政策研究会群星21の所属議員=1月31日、沖縄市

 沖縄の深刻な子どもの貧困に県全体で対応するため翁長雄志知事は新年度から、経済団体や市民団体を含めた全県的な組織を創設する方向で調整に入った。16日に開会予定の県議会2月定例会の所信表明に盛り込む方向。一方で、行政や民間の支援団体のほか、議員らも貧困対策への取り組みを活発化させている。

 翁長知事が新組織を発足させるのは、子どもの貧困対策に向けて行政だけでなく、経済界や市民団体の協力など県民を挙げた取り組みを促すためだ。
 さらに県は8日にも県庁内の部局を横断した「県子どもの貧困対策推進会議」(議長・翁長知事)を開き、「こどもの貧困対策推進計画」の素案を決定する予定。1カ月間のパブリックコメント(意見公募)を経て、本年度中に計画を確定、新年度から実行する。
 一方、県内の超党派議員で組織する「自治体議員立憲ネットワークおきなわ」は16日、子どもの貧困について学習会を開く。県の子どもの貧困実態調査の担当者を招き、県の調査結果から見える課題を参加議員で共有する。2月の県議会や3月の市町村議会の各定例会を通して、行政への政策提言につなげたい考え。
 立憲ネットは、県議と17市町村議会議員の76人で構成する。中心となって立ち上げた仲村未央県議(社民・護憲)は「議員が貧困問題の課題を共有し、継続して議会で取り上げていくことで、県、市町村の取り組みを加速させたい」と説明した。
 立憲ネットの動きとは別に、本島中部地域選出の県議3人と8市町村の議員11人でつくる沖縄自治体政策研究会群星(むるぶし)21(会長・仲程孝うるま市議)は、中部の市町村を対象に子どもの貧困に関するアンケートを実施する。市町村の子どもの貧困率や担当者の認識、実施中の施策、新年度以降の計画、国・県への要望などを問う内容で、1日に送付を始めた。
 各自治体の状況を把握した上で課題を明らかにし、今後の政策提言に生かす。22日までに回収し、2、3月に開かれる各市町村議会での議論につなげることを目指す。県は市町村別の調査結果を公表していない。対象はうるま、沖縄、宜野湾、浦添、嘉手納、北谷、西原、読谷、北中城、中城の10市町村。