嘉手納夜間騒音「年間4人死亡」 爆音訴訟 松井北大教授が推計


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 【中部】第3次嘉手納爆音訴訟の口頭弁論(藤倉徹也裁判長)が18日、那覇地裁沖縄支部であった。環境衛生学が専門の松井利仁北海道大学教授が証言に立ち、嘉手納基地周辺の夜間騒音の影響を基地周辺の人口で換算して「夜間騒音によって1年間に心筋梗塞や脳卒中で約4人が亡くなっている」との推計を報告した。

 松井教授は、県の騒音モニタリングデータから航空機騒音やエンジンの調整音などの地上音を含めた夜間の騒音を推定し、WHOやヒースロー空港(英ロンドン)の疫学調査に当てはめて数値を算出した。その結果、嘉手納基地周辺には夜間の騒音で、1年間に心筋梗塞や脳卒中で約4人が亡くなっている計算になるほか、軽度以上の睡眠障害を持つ人が約1万人おり、心疾患や脳卒中の人が約30人に上った。
 松井教授は「今まで騒音は『うるさい』という心理的影響が大きいと勘違いされてきたが、騒音による健康影響調査が欧州を中心に行われ、知見が集まっている」と述べた。
 さらに「夜間の航空機の飛行停止や夜間の飛行場内での活動をなくさないと、騒音による心疾患や死亡をなくすことはできないと科学的知見から言える」と証言し、夜間の飛行・活動停止の必要性を訴えた。
 今後裁判は5月に現地進行協議をした後、8月ごろの結審を予定している。
英文へ→Deaths from Kadena Air Base aircraft noise estimated at 4 people annually