香炉の灰 一括保管 県系ルーツに思い ブラジル沖縄文化センター


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各家の香炉の灰を保管する容器を手に計画を説明するシンジ・ヨナミネさん=12日、ブラジル・サンパウロ郊外のブラジル沖縄文化センター

 ブラジルの県系人が、将来の子孫にも自らのルーツを確認できるように、仏壇に使う香炉の灰をいつでも使えるよう保管する取り組みが2月中に始まる。サンパウロ郊外のブラジル沖縄文化センター施設内で灰を一括保管する。センターのシンジ・ヨナミネ元会長(65)が呼び掛けており、21日の県人会総会でも説明する。

 希望者は灰を直径2~3センチ長さ約5センチの小瓶に入れて名前を彫り、棚の穴に差し込んで収容する。棚は2011年に整備された。現在約3300の瓶を用意しており、埋まれば随時追加していく。
 県系人が世代を重ねることによる非県系人との結婚や宗教観の変化によって、仏壇の維持が難しくなり悩んでいる家庭も増えてきているという。香炉の灰が残っていれば、また仏壇を持った時でも灰を継ぎ足して脈々と続く各家の信仰を再開させることができる。
 個別保管の他にも、センターを訪れた人が誰でも線香を上げられるようにと、各家の灰が一カ所に集められた直径約30センチの香炉を用意する予定。
 ヨナミネさんは「時代が変わろうと最後に人が求めるのは自分のルーツだ。県系人以外との結婚が進み、顔だけでは誰がウチナーンチュか分からなくなっても、沖縄の名字は残り続ける。ルーツの確認ができる」と話し、まだ見ぬ県系人の子孫に思いをはせた。(長浜良起)