農地中間管理事業 借り受け14倍140ヘクタール


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 規模の小さな農地を借り受け、大規模経営を目指す農家や担い手らに貸し出す「農地中間管理事業」の2015年度の借り受け見込みが前年度比約14倍、貸し付け見込みが約4倍に拡大したことが分かった。制度運用開始2年目で制度への周知徹底が広まったことで農地を貸し出す動きが出てきた。県議会一般質問の仲田弘毅氏(自民)への答弁。

 15年度農地中間管理事業の実績は、地主から農地を借りる「借り受け」面積が約140ヘクタール、担い手農家や企業が農地を借りる「貸し付け」面積が約40ヘクタールとなる見込みだ。事業を実施する県農業振興公社は本年度5人から9人に駐在員を増員。農地の掘り起こしや制度説明会などを実施したことも奏功した。同公社によると「やっと昨年の12月ごろから農地が出始めてきた。2014年度は新規事業への不安感や様子見をしている感じだった」と分析する。
 地域別に見ると、農地総面積が北部や中部、南部に比べて多い宮古、八重山、久米島などの地域で貸し付けと借り受け双方の面積が多い傾向にある。サトウキビの作付面積の大規模化を図る農家などに需要があるという。一方、本島地域では流通が良いため、果樹や野菜などの都市型近郊農業が多く、一つ一つの農地面積が小さい。そのため、1人当たりの農地面積は離島に比べ小さいが、農地を借りたい希望者は多い傾向にある。
 県農業振興公社は「離島に比べると本島の農地の借り受けや貸し付けの動きは鈍い。しかし、件数的には多いのでまだまだ借り受けの需要がある」と話し、大宜味村や国頭村など北部地域での農地の掘り起こしに意気込む。
 1月末時点で、農地を借りたいという希望者は960人、約1259・3ヘクタールの希望が集まっている。
 農業振興公社は「制度運用開始から2年目。制度の理解も進み、やっと成果が出てきた」と評価した。