日産、県にEV無償貸与 低炭素社会向け実証実験


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 電気自動車(EV)普及による低炭素社会の実現に向けて、県と日産自動車、琉球日産自動車は、電気自動車活用事例創発事業と超小型モビリティ実証事業(愛称・結(ゆい)ーモ)を始める。県は日産から電気自動車「e―NV200」5台と2人用超小型車「ニューモビリティコンセプト」1台を無償で借り受け、災害時の非常電源や観光施設での循環バスなどに活用し、電気自動車の普及を促すとともに、新たな観光資源や交通手段としての活用も模索する。

 e―NV200の出力は最大1500ワット。一般家庭の2日分の消費量に相当する電力の供給が可能で、災害時には非常用電源としても活用できる。日産は県のほか、那覇市など4市町村にもを貸与する。貸与されるのは、ワゴンタイプとバンタイプの2種類。
 ニューモビリティコンセプトは最高時速80キロで、1回充電すると約100キロの走行が可能。ただ、現行の車両規格には該当しないため、公道での運転には、地方運輸局の認定が必要となる。日産は琉球日産にも1台を供給し、琉球日産は主に企業向けにEVの普及啓発活動に取り組む。
 県は、e―NV200については、平和祈念公園内での循環バスや災害時の緊急対応車として活用する。ニューモビリティコンセプトの活用方法は検討中だ。
 15日、県庁で会見した日産の村井啓一営業本部副本部長は「事業の背景には二酸化炭素の削減と大規模災害への備えがある。当社が提供する車両を通じて、電気自動車のさまざまな活用事例が創出されることに期待したい」と語った。

日産自動車が県に無償貸与する電気自動車「e―NV200」と安慶田光男副知事(中央)、日産の村井啓一営業本部副本部長(左)、琉球日産の仲井間宗仁社長=15日、県庁