歴史修正に危機感 早大の琉球・沖縄研究所が活動締める報告会


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 早稲田大学の琉球・沖縄研究所(勝方=稲福恵子所長)が10年間の活動を本年度で閉じるにあたっての研究報告会〈「制度」の10年、「場」の10年〉が19日、東京の早稲田大学で開催され、研究者や学生ら約40人が参加した。勝方所長が10年間の活動報告を行ったほか、3セッションと総合討論に分けて若手研究者ら10人が報告した。

研究者らがこの10年間の研究を報告し、議論した早稲田大学の琉球・沖縄研究所のシンポジウム=19日、早稲田大学

 総合討論では参加者全員で、歴史修正主義が影響力を強めている時代状況への危機感を共有しながら、沖縄研究の課題や人材育成について真剣な議論が戦わされた。
 総合討論は研究員で大学非常勤講師の前嵩西一馬氏と戸邉秀明東京経済大准教授の報告を基に意見交換。戸邉氏は「日本と沖縄の間でナショナリズムの相互模倣ともいうべき事態が強まっている」との認識を示し、「民衆史的な観点の重要性を繰り返し語るべきだ」と指摘した。前嵩西氏は「啓蒙(けいもう)ではなくて議論が必要だ」と強調した。
 最後に勝方所長が「抜き差しならない時代に入っている中で、研究所を閉めるのは後ろめたいが、この研究会を継続しましょう」と呼び掛けて会を締めくくった。