県内中小企業、経営「良い」26% 全国9ポイント上回る


この記事を書いた人 志良堂 仁

 県中小企業団体中央会(津波古勝三会長)は21日までに、2015年度中小企業労働事情実態調査報告書をまとめた。15年7月時点の経営状況で「良い」と回答した企業は前年比1・7ポイント減の26・3%に減少したが、全国平均より9・7ポイント高く県経済の好調がうかがえた。「悪い」と回答した企業は、0・3ポイント増の18・9%で、全国より11・6ポイント低い結果となった。

 一方、賃金改定実施状況については「引き上げた」「7月以降引き上げる予定」の合計が前年比2・3ポイント減の45・1%と、全国の53・5%を下回る結果となった。
 経営状況を業種別で見ると、「良い」が最も多かったのは情報通信業で37・5%、次いでサービス業31・5%、卸・小売業が30・4%だった。「悪い」が最も多かったのは、運輸業で33・3%、情報通信業が25・0%だった。
 賃金改定実施状況は、「未定」が41・7%と最多で、次いで「引き上げた」が31・0%、「7月以降引き上げる予定」が14・1%だった。
 経営上の障害については、「人材不足」の52・2%が最も多く、「同業他社との競争激化」が41・9%、「労働力不足」と「原材料・仕入品の高騰」が30・4%と続いた。震災復興や東京オリンピックなどで全国的な人手不足が浮き彫りとなった。
 人材や労働力不足を感じている一方で、15年3月新規学卒者の採用が「なかった」企業が85・9%と「あった」企業14・1%を大きく上回る結果になった。さらに、16年度の正社員の採用計画の有無についても「ない」が46・9%と最多で、「未定」が37・7%、「ある」と回答した企業は15・4%にとどまった。
 調査は県内中小企業800社を対象に実施し、401事業所(回収率50・1%)から回答を得た。