格闘王がデイサービス開所 砂辺さん病気克服、子の可能性伸ばす


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「放課後等デイサービス クロスライン」の砂辺光久代表(左)とスタッフの新垣大輔さん(中央)、小濱美穂さん=4日、那覇市首里鳥堀町

 県出身の総合格闘家砂辺光久さん(36)は1日から、障がいのある小学生や中学生、高校生を対象とした「放課後等デイサービス クロスライン」を那覇市首里鳥堀町に開所した。放課後などの時間を利用して学習、体操、運動、ダンスを行う。砂辺さんは「活動の中で力の加減や人との関わり方を教えたい」と意気込む。

 総合格闘技団体パンクラスの3階級(ストロー級、フライ級、スーパーフライ級)初代チャンピオンで、現在もストロー級のチャンピオンとして活躍中。格闘家を志すきっかけはパンクラスの創立者鈴木みのる選手の試合を見たことだった。「オーラや戦い方など全てがかっこ良かった。子どもがウルトラマンや仮面ライダーに憧れる感覚と同じ」。その憧れを忘れずに格闘技に励んだことが、今につながる。しかし、ここまでの道のりは楽ではなかった。
 格闘技を習い始めて1年がたった中学3年生の時、医師から慢性腎炎と診断され「今後一生運動はできない」と言い渡された。どうしても「格闘家になる」という夢が諦められず、通院と練習を続けた結果、腎機能も安定し、慢性腎炎を乗り越えた。「自分で自分の可能性を疑ったら終わり。夢に届かなくても、努力で現実は夢に近づく」と話す。昨年の夏に愛知県の放課後等デイサービス施設を訪れ、子どもたちとの交流の中で、自らの人生で学んだことを伝えたいと考えるようになった。
 クロスラインではいくつかの約束がある。その一つが「他の児童(あるいは生徒)の失敗を笑わないこと」だ。砂辺さんは「人を思いやり、できた時の喜びをみんなで共有していきたい」と話した上で「クロスラインに関わった職員や利用者、保護者など全ての人が幸せになれるような場所にしたい」と強調した。
 同施設は利用者を募集している。対象は障がいのある小学生と、中学生、高校生。問い合わせは同施設(電話)098(943)8766。