キク用LED開発 県農研センター 雨風に耐える沖縄型


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県農業研究センターは、キク栽培に用いる発光ダイオード(LED)電球の開発に取り組んでいる。地球温暖化対策のため日本国内も白熱球から省エネ性能の高いLED電球への切り替えが進んでいる。今後、LED市場はさらに活性化する一方で白熱電球の生産縮小などを見越し、同センターでは雨風などの環境にも耐えられる沖縄型のLED電球開発を進めている。

沖縄の天候に適するように改良した赤色のLED電球(左)と白熱球を使用した糸満市内の畑(県農業研究センター提供)

 研究は2012年から始まった。県農業研究センターは、全国から商業用のLED電球を取り寄せ、県内の気候や露地栽培の環境に適したLEDを探した。しかし、既存のLED電球では浸水し使えなくなったり、隣接する電球とぶつかって破損したりするなど白熱電球を超える物は見つからなかった。
 そこで、同センターは沖縄型LED電球の開発に着手した。実験で最も好成績を残したLED電球を製造する鹿児島県の企業と連携し、同社商品のLED電球を改良した。読谷村と糸満市の畑で2年間実験した。キクの開花を効率よく抑制させるため、赤いLED電球を採用。しかし、農家から「赤い光だと作業がしづらい」との声を受け、白い電球へ切り替えられるスイッチも備え付けた。
 LED電球の消費電力は、現在キク栽培で使用されている白熱電球の10分の1に低減できる。さらに、耐用年数1年の白熱電球に比べLED電球は5~7年と長い。しかし1電球当たり2500~3千円と白熱電球の10倍で、設備投資に費用が掛かる。
 県農業研究センターで花卉(かき)を担当する渡邊武志主任研究員は「これまでなかった沖縄型LED電球の基礎ができた。今後は、この製品を基にLEDメーカーが独自で生産、普及し、沖縄環境に適した商品の開発、市場活性化につなげられればうれしい」と話した。