沖縄本島への新たな鉄軌道導入の計画案策定に向けて県が設置した沖縄鉄軌道技術検討委員会(会長・兵藤哲朗東京海洋大教授)の第4回会合が29日、那覇市の県南部合同庁舎で開かれ、那覇市と名護市を結ぶ骨格軸のルート案が四つ示された。4案は宿泊施設が多い北谷町、読谷村、恩納村が位置する西側の経路と、人口が多い沖縄市、うるま市、金武町などを通過する東側経路のパターンの組み合わせになっている。鉄軌道と各地域を結ぶバスなどの「フィーダー交通」のルート案も示された。
いずれの案も那覇市から宜野湾市までの区間は共通しているが、軌道の敷設位置は国道58号と330号の間を想定するなど、幅を持たせたものとなっている。中北部のルートも同様で、詳細な軌道位置は今後の検討に委ねられている。
A案は「中部西・北部西ルート」(約60キロ)で宜野湾市から西海岸を北上する。B案「中部西・北部東ルート」(約67キロ)は西海岸を通って恩納村の南からうるま市の北部に入り金武町、宜野座村を通過する。C案「中部東・北部西ルート」(約63キロ)は宜野湾市から北中城村、沖縄市、うるま市を経て恩納村の南に抜けて西側を北上。D案「中部東・北部東ルート」(約67キロ)は宜野湾市から北中城村、沖縄市、うるま市を通過し、東側の金武町、宜野座村を通過する。
那覇と名護を1時間以内で結び、人口分布や県民・観光客、バス利用者の移動経路、宿泊施設の分布などを考慮して設定した。
1~2月に実施した5974人(1万5613件)の県民意見を踏まえ、公共交通の役割として「持続可能性の観点から採算性を考慮」する視点も加えた。
計画案策定に向けて5段階あるうち現在は3段階目にある。5月にパブリック・インボルブメント(PI)を実施して県民の意見を聞き、8月からは4段階目として、利用者数の推計や費用対効果などを算出し、4案のメリットやデメリットを評価する作業に入る。