教科書事実誤認 再訂正「発行者の判断」 政府が答弁書


この記事を書いた人 新里 哲

 【東京】政府は13日、2017年度から使用される高校教科書の検定結果を巡り、帝国書院「新現代社会」のコラムに沖縄経済について事実誤認の記述があった問題について「学習指導要領を踏まえどのように記述するかについては、欠陥のない範囲において申請図書の発行者等の判断に委ねられている」などとする政府答弁書を閣議決定した。再訂正の判断を教科書会社に委ね、政府としての関与を避けた形だ。仲里利信衆院議員(無所属)の質問主意書に答えた。

 答弁書で、政府は教科書検定について「『事実と異なる記述』や『間違いではある』記述がないように留意している」との立場を強調。再訂正を促すよう求めた質問主意書に対し「沖縄振興基本方針における記述も踏まえ、高等学校教科用図書検定基準に掲げる各項目に照らして適切であるかどうかを審査した上で、訂正の承認を行った」とし、明確に答えなかった。
 帝国書院のコラムを巡っては「事実上は基地の存続とひきかえに、ばくだいな振興資金を沖縄県に支出」との表現があったが訂正された。だが、訂正後も「アメリカ軍施設が沖縄県に集中していること」を挙げて「毎年3千億円の振興資金を沖縄県に支出し、公共事業などを実施している」と記載し、米軍基地を負担させる代償として、政府が別枠の予算が付けられているかのような表現が残ったままになっている。