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夏を支える2人 白球追い一直線 18日から高校野球県大会

 県内63校が甲子園出場を懸けて挑む第98回全国高校野球選手権沖縄大会が18日、開幕する。3年間の集大成を試合にぶつける熱い思いや、出場できなくても、先輩らと一日も長い夏を過ごすために練習に励む球児を紹介する。


打撃練習に励む金城妃月=9日、西原高校(金城実倫撮影)

◆金城妃月(西原)
 西原野球部史上初、96人中ただ一人(マネジャー除く)の女子部員、2年の金城妃月はきょうもグラウンドにいる。西原東小4年で少年野球を始めて7年、中学3年間はバスケ部入部や受験で遠ざかったが思いは途切れなかった。出塁率を上げるため左打ちに転向、打撃や捕球、走り込み、食事トレーニングも男子と同メニューをこなす。白球を追い続ける16歳を突き動かすのは「何よりやってて楽しい」という、絶えることのないまっすぐな情熱だ。

 中学ではバスケ部に入って野球から離れた。昨年思い切って入部したものの、3年の空白もあって苦労した。最初は「怖くて取れなかった」という捕球を繰り返した手は疲労骨折した。「無理するな」と男子より軽いメニューを提示されれば「悔しくて泣く」(藤井智監督)。

 現在県内の高校野球女子部員は八重山3年の喜舎場光と金城の2人だ。女子は公式戦に出ることができず「3年間は応援席から」と決めるが、練習成果は、所属する県内唯一の女子硬式野球チームの沖縄ティーダバルで発揮する。「打撃も外野によく伸びるし、際どい守備もできている」。目標は女子野球部がある平成国際大学への進学だ。

 152センチと小柄な身体、パワーを増すべく体づくりに取り組む毎日の大きな弁当は「おばあちゃん(平安山廣美さん)によるとご飯2杯分。おいしい」と笑う。

 9日の放課後、断続的な大雨の中で黙々とバットを振り、汗だくで走る姿があった。主将の平良涼は「皆『自分も頑張ろう』とチームは一致団結している。最初は混じれていなかったが1年で慣れ、最近は元気がプレーに表れている」と語る。3年前に全国大会準優勝した西原中メンバーがそろい、甲子園を目指すチームと一丸、野球を続けるという自らの夢に向かってひた走る。(石井恭子)


川上大喜(やえせ高等支援学校、前列中央)を囲む南部商業ナイン=9日、八重瀬町の南部商業高校体育館(諸見里真利撮影)

◆川上大喜(やえせ高等支援学校)
 「今年は無理だけど、いつかはこのチームで甲子園に行きたい」。高野連の規定で、第98回全国高校野球選手権沖縄大会に出場できないが、南部商業高校野球部員として公式試合出場を夢見て練習に励む球児がいる。今年、同校に併設された県立やえせ高等支援学校に入学した川上大喜(15)だ。「チームを支える」と気持ちを切り替える川上を出場させようと、関係者も県高野連などと調整している。

 小学6年のころ、父親と巨人キャンプを見に行き、野球のとりことなった。客席から原辰徳監督に「野球楽しいですか」と大声で質問し、「楽しいからやってんだよ」とつっこまれた珍体験を持つ。

 中学では守備はライト、打順は9番。試合経験は少ないが、常に試合に出る気満々だ。プロ野球放送を欠かさず視聴し、いつも野球のことばかり考えている。

 高校進学後は、すぐに併設する南部商業野球部に入部した。「先輩は皆一生懸命で面白くて、助け合うから楽しい」と休まず部活に通う。5月の練習試合で初めて試合に出た時、緊張で足が震えたのもいい思い出だ。副主将で3年の金城尚樹は「川上はこの2カ月で技術も伸びている。声も出るムードメーカーなので同じ仲間として試合に出したい」と語る。

 川上が同大会に出場できないのは、4月に開校した同支援学校が高野連に加盟していないことだ。仮に同支援学校が加盟して、南部商業と合同校として出場するにも両チーム9人以下という規定が、10人いる南部商業野球部の壁になる。仲里武史監督は「川上を南部商業の一員とするため県高野連にも相談している。秋からは出場できるようにしたい」と調整を進める。

 今大会は出場できなくても前向きな川上は落ち込まない。「公式戦に出て、ファインプレーでチームを盛り上げたい」と、試合で活躍するシーンをいつも思い描いている。(嘉陽拓也)



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