有料

性的シーンの撮影をサポート 沖縄出身のChiccaさん LGBTQ、闘病…「当事者としてできることを」


性的シーンの撮影をサポート 沖縄出身のChiccaさん LGBTQ、闘病…「当事者としてできることを」 「センシティブ演技アドバイザー」として映画製作に関わったChiccaさん=5月9日、那覇市泉崎の琉球新報社(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子

 映画やドラマなどの現場で性的な描写があるインティマシー(親密)なシーンの撮影に立ち会い、俳優の安心安全を守る「インティマシーコーディネーター」という職業が注目されている。うるま市出身で東京在住のChicca(チッカ)=本名・松田千香=さんはICの有資格者ではないが、LGBTQ(性的少数者)当事者として今年公開予定の映画製作をサポートした。全身に慢性的な痛みが生じる「線維筋痛症」を患いながら「自分にできることをしていきたい」と模索している。

当事者だから分かる「違和感」



 インティマシーコーディネーターは2017年に世界中を駆け巡った「#MeToo運動」をきっかけに起用が広がり、米国では当たり前になりつつある。日本でも需要が高まっているものの専門家はまだ少ない。

Chiccaさんが監修に携わった映画「黒い堕液」のシーン(作品HPより)

 「ジェンダーレスモデル」として活躍し、レズビアン当事者としても多くの講演会やイベントなどに携わってきたChiccaさん。昨秋、知人を介して依頼を受けて「センシティブ演技アドバイザー」の肩書きでホラー短編映画の監修を務めることになった。

 作品には女性同士の性的なシーンがあり、撮影前には4度の「相談会」が行われたという。「LGBTQを扱う作品は増えているけど当事者からすると違和感を覚える場面もある」とChiccaさん。自然に見える流れや動きを助言し、演者との意見交換を重ねて撮影現場にも立ち会った。

映画製作の現場を振り返るChiccaさん

 監督のひがしゆうきさんは「女性同士の絡みを『ヘテロセクシャル』の自分が演出しても不納得な部分が出てくる」とChiccaさんに依頼した理由を説明。トランスジェンダーの俳優を起用していることも挙げ、「性における多様性をより深い目線で問いかけた。フェチズムの延長線上のようなエロスの表現ではなく、アートとして昇華したかった」と語る。

怠けてるだけ?理解されにくい病気



 Chiccaさんは2015年頃から数年間、激しい頭痛やめまい、倦怠感を伴う「脳脊髄液減少症」と闘った経験がある。さらに、その症状が改善していた矢先のある朝、今度は手に強いこわばりが起きた。

 医療機関を受診して分かった病名は「線維筋痛症」。脳脊髄液減少症と同じように治療が難しい病気で、全身に走る痛みのほか、体のこわばりやしびれ、激しい疲労感、抑うつなど、症状はさまざまだ。歌手のレディー・ガガさんやフリーアナウンサーの八木亜希子さんが公表したことでも知られる。

「自分にできることをしていきたい」と語るChiccaさん

 外見で分かりづらいため「怠けている」などと言われつらい思いをする患者も多い。通院や服薬で症状を抑えているChiccaさんは「だるさがひどいときはベッドから起き上がれない。手が上がらないのでお風呂でも頭が洗えないし、拭けない」ほどだという。

 今年、Chiccaさんはホームページを開設し、LGBTQ関連や病気について発信している。さまざまな事情を抱えている誰もが、自分のことを自分で決め、自分らしく生きるために。「一歩、いや半歩でも貢献できればという思いと希望を込めて活動している」

(大城周子)