コザ琉映館閉館 「寂しい」惜別の声


社会
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 【沖縄】コザの映画館の隆盛、衰退を身に刻むコザ琉映館の閉館の知らせに、地域住民や映画ファンからは残念がる声が上がっている。コザ琉映館に思い出がある人たちは「一つの時代が終わる」「寂しい」などという惜別の思いを語った。

 映画コレクターの大城健栄さん(66)は高校時代、学校をサボって読谷からコザ琉映館に高倉健出演のヤクザ映画を見に来ていた。閉館することに「寂しいが、映画館自体が衰退している。閉館は時間の問題だったと思う」と語る。

 台風が来て働いていた店が閉まると、コザ琉映館に行っていたという仲真トミさん(87)。佐田啓二出演の「君の名は」を見たことを懐かしむ。「昔は立ち見が出るほど多くの人が来ていた」と振り返る。

 閉館を惜しむのはコザっ子だけではない。現在のコザ琉映館と同じく、成人映画を上映している首里劇場の金城政則館長は「映写機を取り扱える人が減るのは寂しい。映画館自体が厳しい時代で、明日はわが身だが、(コザ琉映館の閉館は)寂しい」と声を落とした。

 SNSなどでコザ琉映館の写真を発信するイラストレーターの入川正充さん(38)は「2階席のある劇場の雰囲気がなくなるのは惜しい。閉館までに成人映画ではなく、一般映画が流れているコザ琉映館も見たい」と願った。

 コザ琉映館を管理するゼネラルエステイトの奥松謙一社長は「那覇市の桜坂劇場を目標に、映画館を中心に据えた銀天街のまちづくり計画が浮上した時期もあったが、実現しなかった。せめて貴重な映写機は保存したい」と語った。