島々に伝わる雑穀と豆、知ってみよう!【島ネタCHOSA班】


島々に伝わる雑穀と豆、知ってみよう!【島ネタCHOSA班】 7種類の味の箱船登録を発表するために集合したスローフード琉球の皆さん(今帰仁村天底のアメソコ・ネソコにて)
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 沖縄県の島々には、歴史的に育てられてきた雑穀類と豆類があります。新しい作物の導入や作り手の減少で、その多くが消滅の危機に瀕(ひん)していますが、在来作物に再び光を当て、未来につなぐ取り組みも始まっています。県内で活動する「スローフード琉球」の皆さんに話を聞きました。

雑穀や豆、皆さんは口にすることはありますか? 調査員はあまり食べていない、というのが正直なところ(汗)。スローフード琉球(SFR)のメンバーから、県内には在来の雑穀や豆が何種類もある、と聞いた時は驚きでした。詳しく知ろうと、SFRの皆さんが集う場を訪れました。

歴史ある作物たち

今回は7種類の雑穀・豆類を紹介してもらいました。

ツン(提供写真)

「ツン」は宮古の言葉でキビ(穀物)のこと。毎年初収穫を迎えると、キビご飯や握り飯にして、仏壇に供えたり、家族に配ったそうです。

ウツマミ(提供写真)

「ウツマミ」は宮古諸島で栽培される大豆です。沖縄でもっとも古い時代から栽培されている大豆で、みそや豆腐の原料でした。

ユニ(提供写真)

「ユニ」はアワのこと。伊良部島佐良浜には旧暦6月にこれで作った神酒(みき)を供える祭祀「アービューイ」がありました。甘藷(サツマイモ)が広まる以前の琉球では、アワ類は重要な食料でした。

ッフマミ(提供写真)

「ッフマミ」は宮古諸島に伝わるササゲ。サトウキビの農閑期に植え付け~収穫をします。多良間島ではモヤシにして食べていたという話があります。

ジーメー(提供写真)

「ジーメー」は陸稲(りくとう、おかぼ)のこと。畑で育てるお米です。旧暦の5月、6月の祭祀「ウマチー」で奉納することもあったようです。

トーヌチン(提供写真)

「トーヌチン」は本島の言葉でタカキビのこと。宮古では「ウプギャン」とも。これとッフマミを材料に餅菓子「フチャギ」を作ります。

ムチアー。70代以上の方は実際に見たことがあるかもしれません(提供写真)

「ムチアー」は八重山諸島の言葉でモチアワ。結願祭、節祭、豊年祭、種子取祭といった行事では、これの穂を奉納するそうです。

「味の箱船」に登録

1989年にイタリアで始まったスローフード運動。食とそれを取り巻くシステムをより良くすることを目指し、世界160カ国に広がっています。主要なプロジェクトの一つが「味の箱船」です。これは地域の希少な食材を守り、多様性を維持するための取り組み。単なる認証制度ではなく、地域の記憶をつなぎ、生産者の誇りを高めることに重心があります。“食の世界遺産”とも呼ばれます。

7種の作物は、昨年12月に味の箱船に登録されました。登録に際し中心的な役割を果たしたのは玉木陸斗さん。東京農業大学の宮古亜熱帯農場に所属し、在来作物の研究者であり生産者です。7種について、栽培の難しさや収穫量の低さは認めつつ「病気に強い、粒が大きい、栄養価が高いなど、将来役立つ可能性を秘めています」と話しました。先人たちが育ててきた在来作物には、私たちの暮らしを助け、豊かにするヒントが隠されているのですね。

現在、7種の雑穀と豆たちは歴史的・文化的背景も踏まえながら、小規模な生産者のもとで受け継がれています。


※各作物の呼び名は、現在も栽培する地域の言葉に基づいています

スローフード琉球について詳しい情報はこちらから
https://slowfood-ryukyus.net/

(2024年7月4日 週刊レキオ掲載)