海上保安庁は29日、2017年度の概算要求をまとめ、沖縄の尖閣諸島周辺や離島、遠方海域における警備体制を強化する経費として16年度当初予算比65億6千万円(14・7%)増の446億2千万円を盛り込んだ。
米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に関連し、キャンプ・シュワブ沿岸域を警備する予算は「治安・救難・環境保全・防災関連費」に含まれているが、海上保安庁によると、新たに船舶などを増やす計画はなく予算も少額だとしている。一方、海保は今回から緊急的な体制整備について、概算要求後に予算を財務当局と調整する「事項要求」の制度を導入しており、年末の予算決定で増額計上される可能性もある。
尖閣諸島周辺海域警備の関連で、同海域での活動が拡大していることから燃料費や船舶、航空機の修繕費などに108億3千万円を計上。宮古島海上保安部に訓練施設などを建設する費用として2億2千万円、石垣島の拠点機能を強化する費用として15億6千万円が計上されている。
海保の尖閣対応では16年度第2次補正予算に、追跡捕捉能力や情報伝達能力に優れた新型の「規制機能強化型巡視船」3隻を導入する経費を計上している。14年度から予算化されており、18年度にも9隻で尖閣周辺の漁船に対応する体制の構築を目指している。新型巡視船の乗組員として46人の定員を要求した。
そのほか、尖閣諸島の24時間監視態勢を構築するため、那覇基地の新型ジェット機3機を導入する経費も継続事業として105億5千万円が計上され、尖閣に対応する予算が拡大している現状があらためて浮き彫りとなった。機構改革として、那覇市の第11管区海上保安本部に経理補給部を設置する考え。
同庁は海洋権益確保等の経費を含め、474億円を概算要求している。