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男性は残業や休日出勤も「当たり前」なのか? 「大黒柱バイアス」が負担に 那覇で働き方改革セミナー 沖縄


男性は残業や休日出勤も「当たり前」なのか? 「大黒柱バイアス」が負担に 那覇で働き方改革セミナー 沖縄 イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋岡 すみれ

 「男性は仕事をして家計を支えるべき」「男性なら残業や休日出勤をするのは当たり前」―なのか? 

 男性が職場で直面する問題を知り、誰もが働きやすい職場づくりへつなげてもらおうと、県女性就業・労働相談センターは「男性の働き方改革」をテーマにしたセミナーをこのほど那覇市の沖縄産業支援センターで開いた。企業の管理職や人事担当者などが参加した。講師を務めた特定社会保険労務士の岡輝一さんは「重要なのは個人を尊重する視点を持つこと。男性の立場にも寄り添いつつ、真に風通しのいい職場づくりにつなげてほしい」と呼びかけた。

「個人を尊重する視点を持つことが重要だ」と話した特定社会保険労務士の岡輝一さん=8月、那覇市の沖縄産業支援センター

 内閣府は2022年度に全国の20~60代の男女1万906人を対象にした「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」に関する調査を実施。性別役割に対する考えを聞いたところ、男女ともに「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」との回答が最も多かった。

 また「男性なら残業や休日出勤をするのは当たり前だ」との項目に、女性よりも男性の方が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた割合が多かった。

 岡さんは調査結果を踏まえ「いわゆる『大黒柱バイアス』が男性を内からも外からも苦しめ、働きづらさや生きづらさを感じている可能性がある」と指摘した。「管理職や職場の雰囲気が男性に過剰な負担をかけたり、過大に期待したりする状況にないか確認する必要がある。状況を認識することが改善の第一歩だ」と話した。

 また男性が受けるハラスメントの例として、飲み会の席などで「余興」と称して脱ぐことを強要されたり、性体験の有無を聞かれたり、からかわれたりする事例などを紹介。「『仲がいい』『酔っ払っていた』は言い訳にならない。男性の性は軽く見られがちだが、ハラスメントの扱いについて男女で差を設けてはならない」と強調した。

岡さんの話に耳を傾ける参加者ら

 厚生労働省の23年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は30・1%で、22年度の17・1%から急増している。岡さんは「育休を取ってもらうのも重要だが、復職後のマネジメントもとても大切だ」と指摘。子育ては復職後も続く一方で、「子どもが生まれる前のように働いてほしい」という会社や上司の期待で板挟みになってしまっている男性たちの現状を問題視した。

 復職後の適切なマネジメントのあり方として、「男性の置かれた環境を理解し(復職した人が)本当はどういう働き方をしたいのか探求してほしい」とアドバイス。「家庭を優先する働き方を選択したとしてもマイナス評価されない制度・体制の導入や、職場の雰囲気を変えていくことも重要だ」と話した。 (嶋岡すみれ)