16年県内倒産42件、過去最少 好況を反映、負債も半減


この記事を書いた人 志良堂 仁

 東京商工リサーチ沖縄支店は6日、2016年県内企業倒産状況(負債総額1千万円以上)を発表した。昨年1年間の倒産件数は前年比38・2%減の42件、負債総額は同50・3%減の51億5800万円で、統計を始めた1975年以降、件数、負債総額共に過去最少となった。入域観光客や個人消費の増加による好調な県経済を背景に、公共事業の受注が高水準を維持したことで建設業の倒産件数が抑制されたことなどが影響した。

 負債総額が100億円を下回ったのは79年の89億1千万円以来、37年ぶり2回目。負債総額の内訳は、大型倒産(負債総額10億円以上)が前年比50・0%減の1件、大口倒産(同1億円以上10億円未満)が同42・8%減の12件と減少した。大型倒産は昨年4月から9カ月間発生がなく、小規模企業に倒産が集中したことで負債総額は小口化した。

 倒産件数は14年11月から26カ月連続で1桁台を記録している。昨年5月から8カ月連続で5件未満で、7月には単月で初めて0件になり低水準で推移する。

 業種別では建設業が15件で最多だが、過去最少を更新した。次いでサービス業8件、製造業と卸売業が5件、小売業4件と続いた。

 同支店担当者は「観光や建設関連の景況が堅調な上、金融機関の柔軟な貸し出し姿勢が続いて中小企業の資金繰りが緩和されている。建設業の倒産が5年連続で減少しているのが大きい」と分析。今後の見通しを「那覇空港第2滑走路や西海岸道路の整備など公共事業は高需要にある。倒産が増える要因はほとんどない」と指摘した。

 倒産の主な要因は「販売不振」が15件と最多で、次いで「既往のしわ寄せ」10件、「放漫経営」9件、「過小資本」5件と続く。販売不振と既往のしわ寄せ、売掛金回収難を合わせた「不況型倒産」は計25件で全体の6割を占めた。