承認撤回は可能 県民投票も提言 辺野古訴訟シンポジウム


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「辺野古最高裁判決の問題点と今後の展望」を話し合うパネリスト=20日午後、那覇市の県市町村自治会館

 名護市辺野古への新基地建設を巡る不作為の違法確認訴訟で県敗訴が確定したことを受け、緊急シンポジウム「辺野古最高裁判決の問題点と今後の展望」(辺野古訴訟支援研究会主催、オール沖縄会議共催)が20日、那覇市の県市町村自治会館ホールで開かれた。約350人が参加した。登壇者らは敗訴判決に縛られることなく辺野古埋め立て承認の撤回などの手段を行使できると強調した。撤回のため、辺野古新基地建設の是非を問う県民投票実施を呼び掛ける提言もあった。

 パネルディスカッションに登壇した研究会の岡田正則早稲田大教授は「(最高裁判決は)埋め立てについての知事の判断権限は広いとしている」と指摘して、承認取り消しを違法とする確定判決が承認の撤回判断を拘束しないとの認識を示した。

 翁長雄志知事もあいさつで登壇し「撤回も視野に入れながら、絶対に新基地を造らせないとの意思を持ち、多くの県民の思いを胸に頑張りたい」と述べた。新基地建設阻止のため、今後の首長選で勝利を重ねる重要性にも言及した。

 閉会あいさつで武田真一郎成蹊大教授が承認撤回のために新基地建設の是非を問う県民投票実施の必要性を訴えると、来場者からは大きな拍手が起こった。

 基調講演では研究会代表の紙野健二名古屋大教授が一連の辺野古訴訟の経緯を説明。福岡高裁那覇支部判決について「結論から理由付けを埋めた。あからさまな司法史に残る判決だ」と強く批判。最高裁判決も「高裁判決の問題点を引き継ぎ、真剣に吟味したふうにも見えない」とした。

 研究会メンバーの白藤博行専修大教授や県弁護団長の竹下勇夫弁護士らもパネルディスカッションで登壇した。