辺野古破砕許可の再申請回避も 政府、埋め立て早期実施へ検討 沖縄知事の権限無力化狙う


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う同県名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、3月末に期限が切れる埋め立て工事のための沖縄県による岩礁破砕許可について、政府が翁長雄志知事の知事権限を無力化するため、再申請の回避を検討していることが28日までに分かった。政府関係者が明らかにした。

埋め立てに向けた作業が続く沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸域=7日

 沖縄防衛局は2014年7月に岩礁破砕申請を県に提出し、仲井真弘多前知事が同年8月、県漁業調整規則に基づいてこれを許可した。岩礁破砕については、県漁業調整規則で漁業権の設定されている漁場内で海底の地形を変更する際、知事の許可を得る必要がある。

 沖縄防衛局は2013年、漁業補償を結ぶ際に名護漁業協同組合から埋め立ての同意を得た。これを理由に埋め立て予定地に漁業権の設定はないと解釈し、知事の許可回避を狙っている。

 ただ、防衛省幹部は「検討しているうちの一つ」としており、政府方針として再申請を回避するか決定していない。一般的な解釈として漁業権は護岸で囲い込み、海水の出入りがなくなることが確認されなければ消失したとみなされない。そのため、通常通り3月末の期限切れ前に再申請することも排除しておらず、その際は詳細な計画を示して知事の許可を得る考えだ。

 政府は知事が「不当」に権限を行使し、岩礁破砕を許可しなかった場合は「権限の乱用」を主張する構え。岩礁破砕を巡り、県と政府の対立が再燃する見通しとなっている。

 許可がなければ沖縄防衛局は海底地形の改変を伴う作業はできず、埋め立て工事は滞る。県側が岩礁破砕許可の更新を認めるかどうかが、承認撤回の行方を左右するとみられていた。