「やり直せる社会に」 三宅孝之さん、子の成長で提言


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三宅孝之氏

 沖縄法政研究所第38回講演会「『貧困』を考える―子どもの成長発達と沖縄の明日」(沖縄国際大学沖縄法政研究所主催、琉球新報社共催)が25日、宜野湾市の同大であった。刑法が専門で多くの少年事件に関わった島根大名誉教授の三宅孝之さんが、琉球処分や沖縄戦などの歴史にも触れ「貧困率など数値の背景にある歴史や構造を考え、個人の責任ではなく社会を是正していく必要がある」などと講演した。

 三宅さんは1977~91年まで沖国大で勤務した。現在は同研究所特別研究員のほか県人権協会理事も務める。

 少年による殺人や傷害致死事件を挙げて「社会的絆が失われると非行に走る」「子どもは逸脱しながら成長する。失敗を許容し、やり直しを応援できる柔軟な社会にしなければならない」などと指摘。学校教育に加え、学校から脱落した子どもを受け止める「サブシステム」の重要性を強調した。

 また、問題を個人だけに帰結させないため、子どもの権利や基本的人権を法律で根拠付ける重要性を強調。「個人の尊厳を定めた憲法の理想を現実化させなければならない」と訴えた。