「寒冷紗」で幻想的表現 県芸大院・平良さん


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 県立芸術大学大学院の芸術文化学研究科芸術表現研究領域に在籍し、日本画を学ぶ平良優季さん(27)=与那原町=が、論文や作品審査を経て9日までに博士学位を取得した。作品制作や実演を専攻する実技系の同領域は2013年度、大学院博士課程に開設され、平良さんは博士取得第1号となった。

1月の学位審査展覧会で作品の前に立つ平良優季さん=県立芸術大学付属図書・芸術資料館

 「開設したばかりの中、手探りでがむしゃらにやってきた。周りの支えに感謝したい」と喜びを語る平良さん。日本画材の変遷を分析するとともに、寒冷紗(かんれいしゃ)という目の粗い布地に着目し、日本画材としての寒冷紗の可能性を追究してきた。

 クロトンなど沖縄の自然と少女をモチーフにした幻想的な作品が特徴だ。和紙に絵を描いた上に、寒冷紗をフィルターのように重ねてさらに描くことで重層性を表現し、絵の具の定着や発色・透過性についても独自に研究を重ねた。佐藤太清賞最高賞や菅楯彦大賞展入選など全国的な公募展で実績を積み、今後さらなる活躍が期待される。

 知念高校時代はなぎなたに打ち込み「しぶとさはなぎなたで培われた」と笑顔で語る平良さん。卒業後も研究を続ける予定で、「研究者そして作り手として、生まれ育った沖縄という土地に焦点を当ててもっと深く掘り下げていきたい」と意気込みを語った。