地域に愛されたお巡りさんが退職 住民嘆願、異例7年勤務


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早朝の交通安全見守りで児童とハイタッチをする砂川満さん=3月21日、東村

 【東】「おはよう。あれー、髪の毛切ってるね」「靴ひも外れてるよ。気を付けて」。早朝の午前7時半から東小中学校に通う子どもたちに笑顔で声を掛けているのは沖縄県警警部補の砂川満さん(60)だ。東村の平良駐在所で2010年から異例の7年間勤務し、3月31日で県警を定年退職した。地域の防犯に尽くす砂川さんを慕う住民は多く、「異動させないで」と県警に嘆願書を出したこともあった。

 砂川さんは2001年に名護署に配属された際、被害者支援係長を務めた。当時、東村高江でツーリング中の19歳の男性が事故死し、事故現場に花を供えたり、遺族を空港まで迎えに行ったりした。村内で亡くなったことを心から悼み、砂川さんの「事故は起こさせない」との思いもあり、その年、東村の県道70号沿いに「交通安全之塔」が設置された。

村主催の送別会で見送られる砂川満さん=3月17日、東村農民研修施設

 平良駐在所へ配属されてからは、農家が多い東村の農道をパトロールして窃盗がないか警戒。バイクのツーリングが増える土日には、スピードを出させないよう法定速度以下でパトカーを走らせて、事故防止や防犯活動に努めた。「非番だろうが休みだろうが関係なかった。東村で事件や事故を絶対に発生させないという気持ちで、立てない理由がない限り、(駐在所に)立った」

 これまで、駐在所の警察官は、3年ほどの人事異動で変わってきた。砂川さんも3年ほどで異動する可能性があったが、地域に溶け込み、防犯活動に尽力した砂川さんへの信頼は厚く、異動させないよう村内6字の区長が嘆願書を名護署に提出したほどだった。

 川田区の金城利邦区長(67)は「東村を見守ってくれた。村民も安心していた」と話す。

 地域に愛され、地域を愛したお巡りさんとして7年間の勤務を終えた。村主催の送別会には約100人が出席し、花道で砂川さんを見送った。砂川さんは「地域の協力があって地域の安全が継続できた。本当にありがとうございました」と感謝し、東村を後にした。(阪口彩子)