パイン残さ物を飼料に 農林中金など1000万出資


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アグリシードファンドの出資を受ける石垣島SUNファームの當銘敏秀社長(中央)と、農林中央金庫那覇支店の森泰宣次長(左)、和田安正さん(右)=10日、琉球新報社

 農林中央金庫那覇支店は10日、JAグループと共同で設立したアグリビジネス投資育成社と連携し、石垣市でパイナップルの6次産業化に取り組んでいる農業生産法人石垣島SUNファーム(當銘敏秀社長)に1千万円を出資したと発表した。石垣島SUNファームはパインの加工後に残る皮や芯などの残さを畜産飼料として販売する事業を計画しており、残さ物の加工用設備の導入費や商品開発費用として活用する。

 石垣島SUNファームは石垣市でパイン畑14ヘクタールを持ち、年間約200トン程度を生産している。自社工場で冷凍パインなどに加工して主に関東の学校給食などに出荷しているが、皮など年間40トンの残さ物があった。

 これまでは畑に戻したり飼料用として地域の畜産農家に無償提供したりしていたが、パイン原料の増産に伴い残さ物も増えていた。

 飼料提供を受けた農家からは「家畜の増体効果がある」と好評で通年供給を求める要望も強く、同社は残さ物を乾燥させる設備を導入し、保存性を高めた上で販売することを決めた。

 當銘社長は「パイン残さを使った県産飼料を食べる循環型の農業を進めることが、牛や豚、鶏などのブランド化にもつながると思う」と意気込みを語った。

 農林中央金庫那覇支店営業班の森泰宣次長と和田安正さんは「パインの6次産業化という独自のモデルを確立し、地域の先頭に立って頑張っている。地域への波及効果も大きく、サポートしたい」と語った。

 出資の原資となるのは2010年から運用が始まり、技術力ある農業法人に出資する「アグリシードファンド」。農林中央金庫によると、県内でのファンド活用実績はこれまでに7件、1億2200万円。