今シーズン限りで現役を引退することを26日に表明していた女子ゴルフの宮里藍(31)=東村出身=は29日、東京都内のホテルで記者会見し、「一番はモチベーション(意欲)の維持が難しくなったこと」と語り、昨年夏ごろに引退を決意したことを明らかにした。父・優さんのお手製のクラブを握った4歳がゴルフとの出会いだった。2003年にプロ宣言して14年、日米で戦ってきたここまでの歩みに「これ以上ないゴルフ人生だった」と述べ、大きな瞳は真っすぐ前に向けた。
午後1時すぎ、報道陣で埋め尽くされた会場に、宮里が登場した。“藍ちゃん”としてファンにも親しまれ人気者だった元世界ランク1位に、カメラのフラッシュが集中。各社の質問は「感動をありがとう」との言葉から始まった。
引退を意識した時期を問われ、「4、5年前にこれまでできていたトレーニングができなくなった」と切り出した。10年に世界ランク1位に駆け上がった後、プロゴルファーとしてもピークを感じていたが、念願の「メジャータイトルが取れない」と立ち止まり、自分を見失い立て直せなくなったという。「そこをどうしようか手探りで進んできた」というが、今まで通りの練習で自分を追い込むことができなくなった。「それはもう自分の望む理想の形ではなかった」と語った。
結婚についても質問があり「それはない。すみません」と照れ笑い。引退後については「まだ決めていない。先に物事を決めると自分が苦しくなる。選手としても感覚派だったので、自分の感覚に正直にいきたい」と説明した。
今季は国内では6月8日に開幕するサントリーレディスに出場予定。11月まで続く米女子ツアーにも引き続き参戦する。「一試合一試合を丁寧にやっていきたい。メジャーには全部出たいし、勝つチャンスはまだ残っている。諦めていない」と明言。優勝に意欲を示す勝負師の表情をのぞかせた。
会見は47分間行い、最後は言葉を詰まらせながら「引き際の寂しさは一切なく、感謝の気持ちで最後までプレーできることがうれしい」と話し、会場を後にした。