妊娠期がん医療で連携 全国初、沖縄県協議会を発足


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 医療者が連携して妊娠中のがん患者の情報を共有、フォローアップ(追跡調査)する「沖縄県妊娠期がん診療ネットワーク協議会」が5日、発足した。妊娠期のがんに特化してさまざまな機関の関係者が集い、診療科や職種を超えて連携する組織は全国に先駆けた取り組み。同日、那覇市の那覇西クリニックまかびで第1回の会合が開かれ、今後の体制づくりなどについて話し合った。

 5月に日本乳がん学会の妊娠期がん診療班会議が発足し、那覇西クリニックの玉城研太朗医師がそのメンバーに入ったのがきっかけ。班会議の場で、地方である沖縄からモデルケースを発信してほしいと提案があったという。

 協議会メンバーには県医師会や周産期医療に関わる施設、心理的な分野のサイオンコロジー(精神腫瘍学)など多様な分野の31人が名を連ねた。

 妊娠中にがんが見つかる症例は少ないが、医師の不理解により人工中絶が行われたり、適切な治療が施されずがんが悪化したりしてしまうこともある。県内のがん罹患(りかん)数は乳がんが最多、子宮がんも4番目に多く、母親と胎児両方のケアが必要な妊娠期がん治療において連携は大きな支援につながる。

 第1回会合ではネットワークの構想が示され、情報共有と議論のためのホットライン作成や、データ蓄積による治療の検証などが挙げられた。事務局では母子手帳とがん治療手帳を合わせた「妊娠期がん治療手帳」の作成も進めているという。