社会

潜水中の職員死亡「安全管理ずさん」 沖縄科学技術大学院大 外部委が指摘

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究支援職員の男性が昨年11月、沖縄県の本部半島と伊江島の間にある「伊江水道」で潜水作業中に行方不明になった事故について、同大の外部調査委員会が「ずさんな安全管理が背景にあった」と報告書で指摘していることが10日までに分かった。

 沖縄労働基準監督署も今年3月、潜水設備の点検・修理の記録がないことなどから労働安全衛生法違反を指摘し、OISTに是正勧告を出した。OISTは「組織管理において看過できない問題が数多くあった」としている。男性(事故当時37)は見つかっておらず6月に死亡が認定された。

 OISTが学内向けに6月5日に発表した4ページの「報告書の概要」によると、この危険性の高い作業に詳細な潜水計画やリスク評価はなく、不適切な潜水機材を使い、潜水の基本的な安全規則も守られていなかった。

 第11管区海上保安本部は本紙の取材に対し、関係者からの聞き取りなどを実施していることを明らかにした上で「捜査を継続している」とし、業務上過失致死での立件も視野に捜査を進めている。

 事故は、海水の流れの向きや流速を計測するため、水深約60メートルの海底に観測機器を設置・固定する作業中に起きた。ダイビング関係者や研究者らによると伊江水道は潮流が強く、特に深部の潜水は危険だという。

 「報告書の概要」によると「労働安全衛生の重要性が過小評価」されていたほか、男性が所属する部署にはスタッフ不足、スタッフの体調不良、ハラスメントの苦情といった問題もあった。「管理職は適切に対応していなかった」などとして調査委員会は「管理体制の欠陥」を指摘した。

 沖縄労働基準監督署は今年3月、OISTに対し、潜水設備の点検記録の不備のほか、潜水従事者に法定の健康診断をしていないことなどを指摘した。OISTは内部規定の改正などを行い、4月17日に同署に報告書を出した。

 OISTは10日に47ページの報告書を学内向けに公表し、学外には「要望があれば後日公開する」としている。教育研究中に学生や研究員の水難死亡事故を起こした東京大(2005年7月)、九州大(16年9月)では調査委員会による「原因究明および再発防止のための報告書」を事故が発生した年度内に一般公開した。
(黒田華、当間詩朗)