ビッグデータで健康に 琉大と久米島町がプロジェクト 生活習慣をAI分析、改善


この記事を書いた人 大森 茂夫

 琉球大学と久米島町や製薬会社、情報・通信・医療機器関連企業などは、町民の遺伝子情報や生活環境、行動などの「ビッグデータ」を活用し、生活習慣病予防や改善などに役立てる「久米島デジタルヘルスプロジェクト」を本年度から実施する。ビッグデータに蓄積された情報を人工知能(AI)が分析し、個々の体質や環境などに適した改善策などを提案する仕組み作りや発症前の病気の早期発見につなげたい考えだ。31日、西原町の琉球大学で会見が開かれた。

 生活習慣病が大きな課題となっている点や、検査履歴などを一元管理する生涯健康記録(LHR)システムが導入されている点などを考慮し、久米島での実施が決まった。同システムの活用で、2019年度までとするプロジェクト終了後も持続的な取り組みが期待できるという。

 プロジェクトでは、LHRシステムから予備軍などを含む肥満や糖尿病患者を抽出し、琉大がゲノム解析を進める。対象者がどのような遺伝や体質、行動、生活環境にあるのかなどを複合的に解析する。解析結果を基に、生活習慣病につながる原因を探り、原因の特定で、発症前の病気の予防や発見が期待される。

 賛同する久米島島民が対象で、会見に出席した大田治雄久米島町長は「小学生や中学生から糖尿病、肥満になりやすい傾向がある。若い時から改善できる仕組みができればいい」と期待を寄せる。

 琉球大学を中心に31日、製薬企業や情報・通信・医療機器企業なども参画したコンソーシアム(共同組織)が発足し、今秋から本格的に始動する。琉大医学部の益崎裕章教授は「より高度な人工知能解析で、従来と一線を画す先進的な取り組みとなる」と期待する。久米島でのプロジェクトをモデルにし、今後国内外にシステムのノウハウをパッケージとして発信するなども検討している。益崎教授は「応用の利く汎用性高いデータを収集し、学童期から健康で楽しく住める、久米島にしたい」と意気込んだ。