遺影8人新たに 対馬丸撃沈73年 友、家族共に 遺族安堵


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義母の姉・眞栄平マツさんとその子ら5人の遺影を提供した宮城世志子さん=22日、那覇市若狭の対馬丸記念館

 対馬丸記念館にはことし、犠牲者8人の遺影が新たに掲示された。22日の慰霊祭に先立ち、記念館を訪れて遺影を提供した遺族らは「記念館でほかの友だちと一緒に掲示できてよかった。平和な世界になってほしい」と願いを込めた。

 宮城世志子さん(77)=浦添市=は義母の姉に当たる眞栄平マツさん(当時37歳)とその子5人の遺影を提供した。2年前に98歳で亡くなった義母の遺品を整理していた時にタンスの奥から写真を見つけた。「慰霊祭に来るたびに写真がないのはさみしいと話していた。家族6人が一度に亡くなるとは戦争は嫌だなと思う。平和な世界になってほしい」と求めた。

 伊志嶺健二さん(70)=那覇市=は姉の伊志嶺政子さん(当時8歳)の遺影を提供した。姉の姿は遺影で知るだけだ。「踊りが好きだったと聞いている。(姉が)来るべきところに来られてよかった」と胸をなで下ろした。

姉の伊志嶺政子さんの遺影を提供した伊志嶺健二さんら=22日、那覇市若狭の対馬丸記念館

 金城園子さん(85)=沖縄市=は、母・島袋末さん(当時49歳)の遺影を提供した。10歳だった弟の平信(へいしん)さんも対馬丸の犠牲者で、奄美大島・宇検村に漂着した遺体を村民らが火葬した。

 慰霊祭に出席した元田信有宇検村長らに謝意を伝えた金城さんは「火葬してもらったことを聞いて、胸がいっぱいになった」と語った。