出でよ!味の表現者 泡盛フレーバーホイールで育成


社会
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泡盛の官能評価を学ぶ受講者ら=8日、うるま市州崎の沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター

 沖縄県酒造組合(玉那覇美佐子会長)は8日、今年4月に完成した泡盛の味や香りの表現をまとめた「泡盛フレーバーホイール」を活用して商品開発や販売促進ができる人材「ブレンドマーケッター」を育成する事業を始めた。県内17の酒造所で製造や企画、販売に携わる20人が受講した。2018年2月末までの講義を通してニーズに合った香味の設計や商品の特徴を魅力的に表現できる人材を育て、出荷数量の減少が続く琉球泡盛の消費拡大を目指す。

 講義は内閣府の「沖縄型産業中核人材育成事業」を活用して行う。

 計10日間の日程のうち、前半の7日はフレーバーホイールを活用した官能評価とともに、香味や成分の由来を学び、酒質の改善や商品開発ができる能力を高める講座が行われる。後半3日間は、フレーバーホイールを活用したマーケティングや表現方法を習得する。

 泡盛フレーバーホイールは味や香りの表現を「甘み」や「カラメル様」など49語に分類しており、さまざまな種類がある泡盛の風味の特性を表現するのに力を発揮する。ビールやウイスキーなどではフレーバーホイールを活用した商品開発が行われ成果を上げている。県酒造組合の玉那覇会長は「泡盛は従来は爽やかだったり、マイルドだったりと表現が限られていたが、本来はもっと複雑な香味がある酒だ。泡盛本来の魅力を引き出し、戦略的な商品づくりにつなげてほしい。酒造所の財産であり、業界の中核となる人材を育てたい」と意気込んだ。

 受講した田嘉里酒造所(大宜味村)の池原文子さん(32)は「せっかくフレーバーホイールができたのに、使い方が分からないのはもったいない。講座は基本から学べるので期待が大きい。しっかり吸収して現場で生かしたい」と語った。