ベトナム企業「沖縄にIT大学」検討 業界最大手FPT、人材育成へ


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 従業員数2万8千人を数えるベトナムのIT最大手・FPTコーポレーションが、沖縄県内にIT人材を育成する4年制大学の設置を検討していることが15日、分かった。FPTは7月に国内初のシステム開発拠点として「FPT沖縄R&D」を那覇市内に開設し、業容を拡大する方針を示しており、現在注目を集める人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などを担う高度な人材の育成を加速させる。

 FPTのチュオン・ザー・ビン会長が本紙へのインタビューで明らかにした。

 FPTは2006年からベトナム国内で大学を4カ所で運営している。約2万人の学生が学んでおり、大学運営のノウハウを持つ。

 日本での大学設置時期や投資額などの調整はこれからだが、沖縄R&Dは初年度の従業員30人から、20年には500人規模への拡大を目指している。ビン会長は「最新技術を担う人材は世界的に不足している。規模拡大を見据えると、すぐにでも設置したい」と話し、対応を急ぐ考えを示した。

 カリキュラムはシステム開発の現場で役立つスキルの育成を重視する。大学は新設以外にもベトナム本校の分校とするなど複数の案が検討されているとみられる。外国人に対しては日本語を教育するほか、日本人に対しては英語教育を行うなど、世界で活躍できる人材の育成を目指す。

 ビン会長は15日、県庁に翁長雄志知事を訪問し、大学設置の意向を説明した。

 文部科学省によると民間で4年制大学を設置するには学校法人の立ち上げが必要になるが、理事や出資先として外国企業を制限する項目はない。ただ、設置認可には学生の確保策や指導内容、教員確保策などを申請時に確認し「申請内容を見て個別に審査することになる」(文科省私学部)としている。