ハブ治療で医療ミス 中部病院、血清遅れで障害


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 沖縄県立中部病院で2016年11月、ハブに左脚をかまれ救急搬送された男性(42)への適切な治療が遅れる医療過誤があったことが19日、分かった。県は過失を認め男性に謝罪し示談交渉したが、後遺障害の程度で折り合わず、男性は県を相手に損害賠償を求め提訴した。第1回口頭弁論が同日、那覇地裁(森鍵一裁判長)で開かれ、県側は後遺障害の程度で争う姿勢を示した。

 訴状によると、16年11月26日午後10時15分ごろ、自宅でハブにかまれた男性は同41分に中部病院に搬送され、病院側にハブにかまれたことを伝えた。傷口には3カ所の歯形があり左脚は大きく腫れ上がっていたが、医師は8時間以上を経過した27日午前7時44分になってハブ咬傷(こうしょう)と判断し、ハブ抗毒素血清を投与したという。

 訴訟で男性は治療の遅れで血清の効果がなく筋肉の一部が壊死(えし)し、手術が繰り返され、結果左脚関節の屈折が不能となる後遺障害を負ったと訴え、医療費や後遺障害慰謝料など約3400万円の損害賠償を求めている。

 県の担当者は取材に「ハブかどうか確証がなかった。免疫反応が出る血清病のリスクを懸念し、ためらったが、速やかに血清を投与すべきだった。措置遅れの過失はある」と認めた上で「謝罪し補償について対応はしてきた」と説明した。