沖縄の地価が上昇し続ける背景は 那覇中心に需要拡大、一部下落で二極化も


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 沖縄県内の基準地価は横ばいだった林地を除く全ての用途で上昇となっており、変動率は東京や大阪など首都圏と並んで全国の上位にある。好調な県経済と県内の人口増加を背景に住宅地・商業地ともに需要が高まり、地価を押し上げた。一方で一部の離島や北部地域では人口の減少に加えて観光需要を取り込めていないことなどから基準地価が下落。県内の二極化が顕著になっている。

 日本銀行那覇支店の県内金融経済概況や沖縄総合事務局の管内経済情勢では、県内経済が「拡大している」と判断するなど、各種調査で県内景気の好況感が示されている。航空路線の拡充やクルーズ船の寄港回数の増加で、入域観光客は今年7月まで単月の過去最高を45カ月連続で更新している。住宅にとどまらず、ホテル建設の需要も高まっている。

 那覇市内は住宅地、商業地ともに変動率や価格が高い数値を示している。とりわけ新都心地区は「空いている土地が少ない上に、需要があるため高値で取引されている」(不動産鑑定士の高平光一氏)という状態だ。那覇市の地価が上昇したことにより、区画整理が進む北谷町や宜野湾市、沖縄市など周辺地域にも需要が拡大している。

 那覇市を中心とした都市部が上昇を続ける一方で、久米島町や伊江村、国頭村など離島や北部で下落している地域が目立つ。高平氏は「観光需要を呼び込めず、人口が減少している一部の離島や北部地域では土地の上昇要因があまりない」と指摘。県経済拡大の好影響を受けている都市部と対照的な状況となっている。

 県内の基準地価は4年連続で上昇と底堅く推移し、県内景気は今後も好調を維持するとみられる。これらの好材料を離島や北部にも波及させて地域間の格差をなくすためにも、県や自治体が一体となった対策も必要になる。
(平安太一)

※注:高平氏の「高」は旧字体