那覇 空き家倒壊恐れ57件 全473件、持ち主不明169件


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放置され、うっそうとした木々に覆われた空き家=2日、那覇市内

 沖縄県那覇市が2016年度に実施した空き家調査で、市内に推定で473件の空き家があることが3日までに分かった。うち倒壊の恐れがある空き家は57件だった。調査後も空き家に関する情報が市に寄せられており、増える可能性もある。市は調査結果に基づき、本年度中に空き家対策に関する計画をまとめる。

 市は16年8月から17年1月に外観調査を実施し、323件が空き家と推定された。加えて草木の繁茂などで外観調査ができなかったが空き家と推定されたのが150件あった。計473件のうち、所有者が分からなかった空き家は3分の1以上の169件に上った。

 外観調査ができた323件のうち「屋根が一部破損または飛散の恐れあり」の物件が137件で42・4%に上った。ごみの投棄について「一部堆積あり」が49件で15・2%。雑草や立木について「やや繁茂」が96件で29・7%「繁茂」が86件で26・7%だった。建物の不良度合いを4段階で評価し、倒壊の恐れがあるランクDの物件が57件だった。

 大字別で推定空き家が多かったのは繁多川(18件)牧志(17件)三原(16件)と続いた。空き家が10件以上ある大字で、倒壊の恐れがあるランクDの物件の割合が最も高かったのは牧志(58・8%)で、次に識名(36・4%)楚辺(35・7%)だった。

 市は9月定例会で、対策計画策定に向けて不動産業者など他機関と連携する協議会設置を決定。調査も計画策定に向けたもの。

 国は15年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行した。空き家対策の計画策定と他機関との連携体制を整備した市町村が対象となる。同法では、適切に管理されず周囲に影響を及ぼす「特定空家」に、市町村長が勧告や行政代執行ができるようになる。空き家を公共のために活用する場合の費用2分の1を国が支援する財政支援措置もある。