社会

「避難者にも滞在者にも苦しさ」 福島原発事故「生業訴訟」、沖縄の65人も原告に 10日判決

判決への思いを語る久保田さん=琉球新報社

 東京電力福島第1原発事故の責任を問い、国と東電に損害賠償などを求めた「生業(なりわい)訴訟」の判決が10日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)で言い渡される。原告は約4千人で、そのうち沖縄県内への避難者は約65人。全国各地の被災者による集団訴訟で最大規模となる。原告は「事故は福島だけの問題ではない。多くの人に注目してほしい」と願いを込める。

 「避難した人も残った人も、それぞれ苦しさがある。裁判でいろんな立場の人の痛みが分かった」。息子2人と共に茨城県から那覇市に避難する久保田美奈穂さん(38)は振り返る。生業訴訟の原告は事故当時、福島県と隣接する3県の住民。避難を選択した人だけでなく、福島で暮らし続ける人たちも加わる。

 2013年3月に提訴し、4年半余。原告の沖縄支部代表を務める久保田さんは14年、法廷に立ち意見陳述した。放射性物質の子どもへの影響を考えて沖縄に自主避難したものの、避難しなかった家族や友人たちと関係が悪化したことを明かし「国や東電の責任を明らかにし、滞在者も避難者も、福島県民もそうでない人も、区別なく被害救済してほしい」などと訴えた。

 原告側は第1原発が大津波に襲われる予見可能性はあり、事故を防げたと主張。被告側は、津波は予見できなかったとして争っている。集団訴訟の判決は、3月に前橋地裁、9月に千葉地裁で言い渡された。前橋では国と東電の責任を認めた一方、千葉では国の責任を否定し、東電にのみ賠償を命じている。

 福島市から那覇市に避難する原告の隈井士門さんは「事故によって家族や地域と分断された。画期的な判決を望む」と話す。

 判決の言い渡しは10日午後2時から。県内の原告らは午後1時から、那覇市久茂地のカフェ「ゆかるひ」で集会を開く。
(前森智香子)