エコツー、民泊、修学旅行…観光への影響は? 「地域経済脅かす」と経済関係者 高江米軍ヘリ炎上


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 11日の高江米軍ヘリ炎上を受け、沖縄県内の観光業、農業関係団体、経済関係者からは憤りの声が上がった。自然豊かな地を生かした観光と農業が盛んで、世界自然遺産登録の機運が高まるやんばるで事故は起きた。観光関係者らは誘客への悪影響や風評被害が起きないことを願い、農業団体からは「地域経済を脅かす」と指摘する声があった。

 東村に隣接する大宜味村では、豊かな自然を生かしたエコツーリズムや、修学旅行生を民家で受け入れる民泊が人気だ。

 おおぎみまるごとツーリズム協会の稲福元子事務局長は「県外の人は事故のニュースでしか北部を知り得ない。そこだけに焦点が当たり『やんばるは危ない』というイメージがつかないか心配だ」と今回の事故で、不安をあおるような事態にならないよう願った。修学旅行でやんばるを訪れる子どもも多く「(保護者らが)自らの子の安全を案じればなおさらだ」と語った。

 15日からは世界自然遺産登録を調査する国際自然保護連合(IUCN)の2氏が北部を視察する予定だ。稲福事務局長は「あまりいい印象は受けないだろう」と不安視した。

 生計を支える牧草地でヘリの事故が発生したことに、JA沖縄中央会の砂川博紀会長は「安心できる暮らしの中でこそ、農業を営むことができる。地域経済を脅かす行為は到底容認できないし、憤りを感じる」と語った。「地域に根差すJA、協同組合としても、地域社会をつくり、生活を守る役割がある」と強調した。

 県中小企業団体中央会の津波古勝三会長は「危険度から考えても絶対に許すことはできない」と憤った。現場となった東村をはじめ、北部地域では自然を生かした観光が盛んなことに「事故が起こることで自然を満喫するために足を運ぶ人が減ってしまう」と語気を強めた。