沖縄県内でウイルス試験 「国内初の実施」 長崎大ベンチャー企業


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ウイルス安全性評価試験の県内での実施について説明するAVSSの小林信之代表(右)と國吉一紀氏=7日、那覇市天久の琉球新報社

 うるま市に研究拠点を構える長崎大学発のベンチャー企業・AVSS(長崎県、小林信之代表)が、医薬品のウイルス安全性評価試験を沖縄県内で実施する。試験はバイオ医薬品や再生医療などの製品内にウイルスが存在しないことを証明する。同社によると国内に試験を行える企業がなく、製薬会社は海外に委託しているという。小林代表は「国内で試験を行う初めての取り組みになる」と話している。

 試験は丸紅ケミックス(東京都)と、農水省の外郭団体・生物科学安全研究所(神奈川県)と協力して行う。バイオ医薬品は、がんなどの治療で活用されていて、高い効果があり副作用が少ないことが特徴という。動物由来の原材料を使っていることから、製造の段階で試験し、細菌やウイルスに汚染されていないことを証明する必要がある。再生医療の分野でも同様の証明が求められている。

 製薬会社はウイルス汚染に関する試験を海外に委託していることから、多額の費用がかかるほか、検査結果が出るまでに長い期間を要することがある。AVSSはうるま市の研究拠点で製薬会社のサンプルを受け入れ、ウイルスの有無を確認する試験をする。2018年4月以降の業務開始を目指している。試験の実施を足掛かりに、製薬会社の工場を県内に誘致することも目標としている。

 小林代表は「沖縄は再生医療などの取り組みに力を入れていて、今後の発展性も高い。ウイルスの試験を核にして、さまざまな可能性が広がっていくはずだ」と話した。