沖縄のデマや偏見に反証 「これだけは知っておきたい 沖縄フェイク(偽)の見破り方」刊行


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
「沖縄フェイクの見破り方」表紙

 「辺野古のゲート前で座り込みをしている人たちはいくらもらっているんだろうね」。「沖縄は基地がなくなったら経済的にやっていけないよ」。

 友人や知人と話をしていて、このような会話になった経験のある人は少なくないだろう。インターネットの掲示板やサイトでは、それこそ冒頭に書いたような沖縄に関する誤った「情報」があふれかえっている。

 近年、インターネット上の「情報」をすぐうのみにするのではなく、一歩立ち止まって考える必要性が叫ばれている。

 「情報」の内容が事実に基づくものでなく、正確な根拠がなければ、それは「情報」ではなく、「デマ」や「偏見」と言い換えることもできるだろう。

 ネット上や会話の中にあふれる沖縄の「情報」を、本来の情報として自分の糧にするためにぜひ役立ててほしい本が、このほど発刊された琉球新報社編集局編著「これだけは知っておきたい 沖縄フェイク(偽)の見破り方」(高文研、1620円)だ。

 「沖縄フェイク(偽)の見破り方」は、本紙で2016年に連載した「沖縄基地の虚実」などを基に再構成、加筆した。ネットや沖縄ヘイト本で流布されるデマ、偏見に対し、琉球新報のこれまでの蓄積と新たな取材によって得たデータと、論理によって丁寧に説明した。沖縄問題について正しい理解に導く最新の入門書となっている。

 本書で紹介されている主な沖縄に関する「疑問」は次のようなものだ。

 「基地があるから振興予算が多い?」「辺野古の抗議は『プロ市民』?」「尖閣有事、海兵隊が即座に奪還する?」「辺野古新基地が出来ないと軍事的空白が生じる?」「キャンプ・シュワブ、地元が誘致した?」「在日米軍基地面積、沖縄は23%?」「米軍は日本を守るため沖縄にいる?」「北部訓練場部分返還は負担軽減?」など。

 いずれも「基地があることで沖縄は得をしており、大きな利点がある」「日米両政府が実施している在沖米軍基地の整理縮小は、沖縄県民の負担を軽減している」などという考えに基づいた言説だ。本書ではこのような「疑問」に対し、多角的に検証し、丁寧に反証している。

 さらに沖縄の基地反対の市民をテロリストに例えるなどして問題になった今年1月放送の東京MXテレビ「ニュース女子」の検証を通して「沖縄ヘイト」の実態、背景も読み解いている。

 あとがきでは本書が生まれることになったいきさつと、本書に託した願いをこう記している。

 「フェイク(偽)に反論し、実証によって沖縄のことを知ってほしいと願った記者たちによって、この本は生まれた。

 フェイクにおぼれていると、すぐ目の前にある問題も歪んで見えて、手を伸ばしても何もつかめない。

 でも、真実を知ったら、次の策が見つかるのではないか。

 本書をお読みいただいた皆様に沖縄で起きている真実を知っていただければ、こんなにうれしいことはありません」【琉球新報電子版】  

これだけは知っておきたい 沖縄フェイク(偽)の見破り方
琉球新報社編集局編著
四六判 192頁

 

¥1,500(税抜き)