国際人権法学会(申恵丰(シンヘボン)理事長)の第29回研究大会が26日、那覇市のタイムスホールで2日間の会期を終えた。名護市辺野古での新基地建設工事の差し止めを求めた訴訟など、沖縄の米軍基地を巡る訴訟と国際人権法の関わりについて全国の弁護士や研究者が討議した。国連人権理事会で開かれた日本政府対象の普遍的定期審査(UPR)に関しても報告があった。


沖縄と国際人権法の関わりについて、来場者からの質疑に応える登壇者=26日、那覇市のタイムスホール

 訴訟に関する討議で、亘理格(わたりただす)中央大教授は辺野古訴訟について「埋め立て事業で損なわれる環境の価値などの軽重について、一審も上告審も踏み込まずに結論を出した」と指摘した。

 第3次嘉手納爆音訴訟弁護団の高木吉朗弁護士は、裁判所が米軍機の飛行差し止めを退ける源流に1959年の「砂川事件」最高裁判決があることを挙げた。その上で「一審は(米軍駐留を)違憲としたが最高裁は統治行為論で排斥した。駐留米軍は憲法9条に反しないと付け加えている。大きな判断もできるということだ」と述べ、判断を避ける裁判所を批判した。

 国連UPRについては沖縄側と国側の双方が意見を述べた。

 外務省総合外交政策局人権人道課の杉浦正俊課長は、国連から沖縄の人々の先住民族としての権利を守るよう勧告されたことに関連し「政府として先住民族と認識しているのは今の時点でアイヌの方々だ。権利は憲法で等しく保障されている」と応えた。

 沖縄国際人権法研究会の島袋純共同代表(琉球大教授)は、UPRに向けて沖縄の研究者らが四つの報告書を提出したことを説明。その上で「ペルーは沖縄の固有名詞を出して人権状況の改善を勧告した。これまでにない大きな成果だ」と強調した。

 星野英一共同代表(琉球大教授)は、米軍基地建設に反対する市民が逮捕された事例を挙げ「表現の自由が侵害されている」と説明。同研究会として声明文を出し、国連に働き掛けたことを報告した。

英文へ→International Human Rights Law Association holds Japan-Okinawa debate regarding UN review