“いなりずし”冷凍し販路拡大 食品のロス減も 消費期限、27時間→半年超 トキなりフーズ


社会
この記事を書いた人 大森 茂夫
冷凍により販路を拡大しているオイナリアンのいなりずし=4日、宜野湾市大山

 いなりずしやフライドチキンなどを販売する「オイナリアン」を運営するトキなりフーズ(沖縄県宜野湾市、吉里時浩代表)が主力商品のいなりずしを冷凍して販路を拡大する事業を展開している。いなりずしを作りたての状態で冷凍し、風味や食感を保ったまま保存期間を長くすることに成功した。これまでの店頭販売から、幅広い地域への出荷が可能となった。吉里代表は「海外への出荷も目指したい」と目標を掲げる。

 オイナリアンは宜野湾市大山に店舗を構え、国産の原料にこだわったいなりずしを販売している。店頭での販売が中心だったが、人手不足など飲食関連の産業を取り巻く環境が変化。吉里代表は「新店舗の開店による事業拡大が厳しい状況と感じていた」と語る。新たな事業として冷凍したいなりずしを製造し、販路を拡大することを目指した。

 食材に関する研究を重ねることで、瞬間冷凍によっていなりずしを作りたての状態で保存することが可能になった。通常のいなりずしは消費期限が27時間程度だったが、冷凍によって半年以上も保存できるという。保存期間が長くなったことで食品のロスを減らし、需要に応じて解凍しながら店頭販売できるようになった。

 今年の旧盆には解凍したいなりずしも一緒に販売した。吉里代表は「お客さまから風味が違うという問い合わせはなかった。逆に味が良くなっているという声もあった」と手応えを語る。現在、冷凍いなりずしは北部のリゾートホテルや沖縄そば店に出荷している。今後は個人向けの販売も始め、県外や海外への出荷も視野に入れている。

 吉里代表は「海外にも商品を出して、いなりずしの文化を広げていきたい。沖縄の特産品を使ったいなりずしも開発したい」と今後の展開に意欲を示した。